「考える腎臓病学」は電解質異常の勉強におすすめ【医師・薬剤師】

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考える腎臓病学は薬剤師が電解質異常を勉強するのにおすすめです
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輸液の特徴を理解して病態に応じて使い分けられるようになったらもうゴールですか?
低Na血症なんて細胞外液を補充しておけば大丈夫だよ!
って自信満々に言って対応していたら上手くいかず、どうすればいいのかわからなくなった…そんな経験ありませんか?

「考える腎臓学」を読めばどうして上手くいかなかったのか考えて対応できるようになります。

悩める薬剤師

いつもどおりに処方支援したら上手くいかない…なぜ??

フローチャートのように対応していたらあとで苦労するよ。
「考える腎臓病学」で対応力を高めよう!

  • 対象: 医師、薬剤師
  • おすすめ度(5段階):★★★★★
  • コスパ:(5段階) :★★★★★
  • 著者:谷口 茂夫
  • 発行日:2011/3/15
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抗菌化学療法認定薬剤師、NST専門療法士医療専門書の購入歴300冊以上です。

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目次

読者対象

悩める薬剤師

初学者のときから「考える腎臓病学」を読めばよかったのでは…?

初学者は挫折するので2、3冊目に読みましょう。
「考える腎臓病学」の内容が理解できれば腎臓内科医レベルに近づけるかも。

「考える腎臓病学」を輸液、電解質異常を勉強するときに1冊目に読むと挫折するのでやめておきましょう。
読者対象は輸液、電解質異常の初学者向けの医学書を読み終えた医師、薬剤師ですね。

初学者はまず「レジデントのための これだけ輸液」などを読みましょう。
書いてある言葉の意味がわからないと時間がもったいなので、自分のレベルに合った本を読むという鉄則を忘れないでください。

「考える腎臓病学」の特徴

本書の「序文」を読むとこう書いてあります。

本書は教科書というスタイルをとってはいるが、体系的な知識をみにつけることは目的にしていない。
知識そのものを記載するのではなく、「考え方の筋道」を理解するためのものであるようこころがけた。

考える腎臓病学

いわゆる「How to 本」ではなく、「どのように考えるか」を訓練する本ですね。
知りたい項目から読んでも構わないです。
一般向けではない内容は「Topic」という項目で書いているので、興味がなければ読み飛ばしても構わないとのことです。

また、本書は教科書のように必要な知識を説明した後、実践的な症例形式の問題があります。
問題の解説がとても勉強になるのでじっくり何度も読み返しましょう。
キーワードや補足がページの横に記載されているので、並行してわからないことを調べるときに役立ちます。

一度で理解するのは難解な内容なので、キーワードとその周辺を何度も読み返して「考え方の筋道」を身につける本です。

おすすめポイント

  • 一歩踏み込んだ電解質異常の対応が勉強できる
  • 低Na血症とADHの関係を勉強できる
  • 腎臓病の病態が勉強できる

一歩踏み込んだ電解質異常の対応が勉強できる

体液量、電解質の関係がわかるようになる

腎臓といえば体液量の調節、電解質に関わってきます。
「考える腎臓病学」では

  • 体液バランスがどうやって整えられるのか
  • 尿の希釈、濃縮と利尿剤の詳細な作用機序
  • 電解質異常:Na、K、Ca、P
  • 血液ガス

上記、様々なことがわかるようになります。

例えば低K血漿の原因に嘔吐があります。
嘔吐1つでも連鎖的に様々なことが起こります。

  1. 嘔吐に伴い脱水になる
  2. 脱水 → 二次性にアルデステロンの分泌が増える
  3. アルデステロンがKの排泄を増加させる。
  4. 嘔吐に伴い代謝性アルカローシス → 細胞内にKが取り込まれる
  5. 代謝性アルカローシス → Kの排泄が増加する。

ひとつひとつをロジックに考えたことがありますか?
「考える腎臓病学」はこのように原因を考える思考回路が身につきます。

特に「Naの調節と異常」の項目は奥が深いですよ。
ネフロンでの電解質の調節機構や利尿剤との関係について記載されているのでめちゃくちゃ詳しくなります。
血清Na値の異常はよく経験しますが、こんなに奥が深いのか…と驚きの連続です。

また、利尿剤に伴う電解質異常の機序も詳しく書いてあるので薬剤師はおさえておきたいポイントですよ。

低Na血症とADHの関係を勉強できる

ADH(抗利尿ホルモン)の勉強ができます

薬剤師の方は医薬品添付文書の副作用項目で「SIADH」という言葉を見たことがありませんか?

SIADHは抗利尿ホルモン不適切分泌症候群のことです。
簡単に言うと、ADHが分泌されなくてもよいときにADHは分泌されている状態です。

ADHは抗利尿ホルモンなので水(自由水)の排泄を抑制します。
SIADHでADHが不適切に分泌されていると低Na血症をきたします。

そこで、SIADHの副作用がある薬剤を使用しているときに低Na血症があると、
「この低Na血症は薬剤の副作用かもしれません!」
と安易に言うのはやめましょう。

https://twitter.com/yakugaku919/status/1303863010528645120?s=20
悩める薬剤師

SIADHという言葉は知っているけど、詳しいことは正直わかりません…

「考える腎臓病学」を読むとADHの働きと調節因子が勉強できます。
本書以外だと、柴垣有吾 先生の「より理解を深める!体液電解質異常ち輸液」がありますが、こちらは電解質でトップクラスの医学書なので手を出すのは最後の方にするのがおすすめ。

ADHの調節因子は浸透圧と循環血流量があります。

通常は、低Na血症がになると

  1. 血漿浸透圧が低下
  2. ADHの分泌が抑制される
  3. 腎臓で水の再吸収が抑制され希釈尿が出る
  4. 低Na血症が是正される

これが何らかの原因で上手く働かないと低Na血症が持続します。
何が原因で持続しているのか考えることができないと、想定外のことが起こったときに対応できません。

ADHのことをしっかり勉強することで、薬剤師が「薬剤性のSIADH」らしさを高めた発言ができるようになります。
繰り返し読んで、ADHのことを先ず勉強し、SIADHの診断はどのように行われるのか?をおさえましょう。

腎臓病の病態が勉強できる

悩める薬剤師

腎機能が悪いと血清K値が上がりやすいのはわかります。

では、糖尿病に伴う高K血症の原因はわかりますか?

腎疾患の項目は薬剤師に馴染みのない話や診断的な項目もあるので難解な項目もあります。
最初は読み飛ばしても構いません。

「考える腎臓病学」で取り上げている糖尿病性腎症は、疾患の背景を理解して高K血症になる機序を考えるいい例ですね。

  • インスリンの不足に伴う細胞内にKが取り込まれない
  • ACE阻害剤、ARBを使用していることが多いという背景
  • 低レニン血性アルデステロン症
  • 慢性腎不全

これらが糖尿病性腎症の高K血症をきたしやすい理由と考えられています。
上記の理由をロジックに説明できるとレベルが高い薬剤師ですね。

その他にも下記の疾患について説明しているので勉強になりますよ。

  • 糸球体腎炎
  • ネフローゼ症候群
  • 急性腎不全
  • 慢性腎不全
  • 尿毒症

まとめ

1度読んだだけでは、正直理解できないくらい難解な内容です。
その分、「考える腎臓病学」から得るものも大きいと考えています。

読者対象は輸液、電解質異常の初学者向けの医学書を読み終えた医師、薬剤師
初学者は、先ず「レジデントのための これだけ輸液」を読むのをおすすめします。

「考える腎臓病学」のおすすめポイントは3つ

  • 一歩踏み込んだ電解質異常の対応が勉強できる
  • 低Na血症とADHの関係を勉強できる
  • 腎臓病の病態が勉強できる

また、利尿剤に伴う電解質異常の機序、ADHについて勉強できる貴重な1冊です。
ぜひ、「考える腎臓病学」を買って質の高い輸液の処方支援ができる薬剤師になりましょう。

考え方の道筋がわかれば応用力が高まります

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読み終えたらこの本もおすすめ

柴垣有吾 先生の「より理解を深める!体液電解質異常と輸液」を読めばほとんどの電解質異常に対応できるのではないでしょうか。

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輸液、腎臓の他の医療専門書はこちらの記事でまとめています。

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考える腎臓病学は薬剤師が電解質異常を勉強するのにおすすめです

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