
輸液の調剤はしたことがあるけど、輸液の使い分けがわからない…
薬剤師も輸液がわかると医師との会話の中で処方支援できる機会は意外に多いと感じます。
輸液・電解質異常の勉強をするときにおすすめの本をまとめました。
薬剤師だけでなく、医師、看護師も勉強に使える本ですよ。
このブログを書いている人は
病院薬剤師歴20年年目! → プロフィール
抗菌化学療法認定薬剤師、元NST専門療法士で医療専門書の購入歴300冊以上です。
わかりやすい本や他にない切り口の本を見つけるとテンションが上がります。
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わかりやすい、コスパが高い本を選ぶようにしています!
看護の現場ですぐに役立つ輸液のキホン
新人薬剤師に輸液の勉強をしたいと言われたら、これを1冊目におすすめます。
わかりやすい、安い、コスパよし!
電解質の単位はmEqで表しますが、難しい話は出てこないので生食、5%ブドウ糖液の水の移動がわかれば応用が効きます。
また、点滴セットのことも書いてあるので、看護師が考えていることを理解してると気がつく薬剤師と思ってくれますよ!
看護師向けの本ですが、わかりやすくてとってもよくまとまっています!
出版社の秀和システムのHPから引用。
看護師はさまざまな科で働いていますが、輸液はどの科でも必要とされる重要なスキルです。しかし、教科書を読んでもわかりにくく苦手にしている方も多いのではないでしょうか。本書は、輸液の基礎知識を看護師が知っておかなければならない範囲に絞って簡潔に解説します。「実際の点滴の仕方」「どのような器具が必要なのか」「輸液ポンプ、シリンジポンプの使い方」といった看護師の現場で役立つ実践的な知識が身につきます。
電解質の勉強でさけられないのが浸透圧。
浸透圧を理解するために「mEq」を理解しないといけません。
輸液の水分が、どこにどれだけ移動するか知りたくないですか?
それ、輸液の浸透圧を理解できたらわかります。
でも、mEq、浸透圧の話をすると難しく感じる方が多いです。
ぼくは、薬剤師会が主催する輸液の勉強会に参加し、同じ内容を3回受けてようやく理解できました。
独学で本で勉強すると挫折しやすい分野、というのがぼくの印象です。
この本はmEqの話あまり出てこないのでが導入に最適。
同僚もこの本を早く買えばよかった!っていってました。
生食、5%ブドウ糖液の水の移動が理解できたら、その他の輸液に応用できます。
症例で使うべき輸液をイメージできるのでわかりやすい。
医師向けの電解質の本で理解できる方はそちらからはじめてもOK。
また、NST、病棟業務をする薬剤師は、点滴セット、投与ルートなど看護師が考えていることを理解してると
気がつく薬剤師と思ってくれます。
ぼくも点滴ルートの整理や処方支援のときに考えるようにしてます。


輸液ができる、好きになる
「輸液ができる、好きになる」は、医師・薬剤師が輸液で電解質補正をするために必要な知識が勉強できる本です。
研修医が読む本ですが、薬剤師もおすすめ!
臨床でよくあるケースを書いてるので、これが知りたかった!って内容が書いてますよ。
目次見たら即買いまちがいなし!
フロセミド、カルペリチド、生食、ブドウ糖投与したらどうなりますか?
すごく知りたいですよね!?
薬剤師として、薬の影響を予測できるようになりたいなら買いです!
低Na血症の3%生食はよく聞く話ですね。
ぼくはシビアな低Na血症をすることがあまりないので、
メンターの先生のやり方をまねて
生食500mlに10% NaCl 20 ~ 40ml 混注する簡便な高濃度の生食を提案してますが、
教科書的には3%生食です。
症例によって変わるでしょうから、ご自身の判断でお願いいたします。
K値の異常もよくあるケースですよね。
GI療法について医師から相談されることがあるので勉強してて損はありません。
酸塩基平衡は血液ガス分析を理解できると視野が広がりますよ。
注意点が2つ
2010年に出版された本なので新しい考え方がでてきてます。
- “橋中心髄鞘崩壊症”は”浸透圧性脱髄症候群”に現在は呼び方が変わった
- TTKG(transtubular K gradient)の概念が変わった
特にTTKGは意見が分かれるところでしょう。
TTKGは皮質集合管腔内のK分泌能の指標です。
詳細は省きますが、腎臓が正常な場合
低K血症であればTTKG<3
高K血症であればTTKG>6
この概念を提唱したHalperin 自身がTTKGは正確でないため
up to date でその使用を推奨しないとしてます。
ちなみにHalperinの著書は、あの門川先生が訳本を出してます。
ぼくが持っている本では
・2015年の「極論で語る腎臓内科」
・2017年の「レジデントのための腎臓病診療マニュアル 第3版」
この2冊は、著者がそれをふまえたTTKGの考えを書いてます。
門川先生の2013年の「電解質輸液塾」にも書いてるかもしれませんが、職場にあるのでブログ執筆時点で未確認です。
→特に記載がなかったので、門川先生のブログをご確認ください。
気になる方は、これらの本も確認してみるとよいでしょう。
プライマリーケアや中小病院でTTKGを計算する機会は少ない印象なので、頭の片隅においといて、いざというときに調べれたらよいと考えています。
注意点があるとしても、ブログ執筆時点でも売れてる本ですから導入に最適なんでしょうね。


酸塩基平衡、水・電解質が好きになる
酸塩基平衡、Na・K・Caをコンパクトにまとめてます。
初学者には難しいですが、ある程度理解して読むといいこと書いてるなあって実感しますね。
最初に15のルールを書いてるので、あとで確認するのに役立ちます。
読み進めると、「ルール8」というように明記してくれるのでポイントがわかりやすい。
特に”マジックナンバー”という数字が覚えやすいです。
- アニオンギャップ 12
- HCO3– 24
- Na+ − CL– 36
12の倍数だから覚えやすいですね。
よく使うルールなので覚えておきましょう。
研修医がよく読んでるため、効率よく勉強できるようにまとめてます。
各項目のもっと深いところは他書にゆずって、最低限必要な内容に絞っているところがおすすめです。
電解質の調整は内分泌も関わってくるので、
- 酸塩基平衡 → 呼吸、腎臓
- 電解質 → 腎臓、内分泌
詳しいところまで勉強しようとすると時間がかかります。
基本を勉強したところで次の分野に移動し、各分野の基本を身につけて、さらに深めていくとブラッシュアップできておすすめ。
2007年と古い本ですが、今も売れ続けています。
臨床に即したわかりやすい本だからでしょうね。
ひとつ前に記載した注意点が同様にあるのでご注意ください。
- “橋中心髄鞘崩壊症”は”浸透圧性脱髄症候群”に現在は呼び方が変わった
- TTKG(transtubular K gradient)の概念が変わった


電解質輸液塾
「輸液ができる、好きになる」と同じ位置づけです。
輸液ができる、好きになるとの違いは、電解質輸液塾の方が系統的に勉強できる本です。
- Na、K、Ca、P、Mgなどの電解質異常
- SIADH
- 酸塩基平衡
- 輸液の使い分け
- 症例を通じた実践的な対応
幅広い内容を勉強できるコスパが高い1冊になっています。
レジデントのためのこれだけ輸液
研修医向けの医学書ですが、薬剤師にもすごくおすすめです!
とにかくわかりやすくて、本の構成が良い!
勉強する順序がよく考えられており、スラスラと読めます。
1冊目に読んでも理解できる医学書ではないでしょうか。
「レジデントのためのこれだけ輸液」は薬剤師も輸液の勉強に最適!にレビューを書いていますので見てくださいね。


周術期輸液の考え方 何を・どれだけ・どの速さ
「周術期」とありますが、他の分野でも応用可能です。
水の移動についてわかりやすく書いてあります。
サードスペースについて書いてある本はあまりないので貴重です。
他にない切り口の本です。
体液電解質異常と輸液
柴垣有吾 先生の名著です。
これになんでも書いてある、っていうほど奥が深い。
最後は「体液電解質異常と輸液」に行き着くんでしょう。
多くの医師、薬剤師が気になっている本です。
腎臓の医学書はこちらから
輸液・電解質の勉強を終えたら腎臓の勉強をするとより病態が理解できますよ!





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