心不全の前負荷、後負荷、前方障害、後方障害に伴う症状を初学者向けに説明してくれる「レスピプラス みてわかる!循環器のキホン 心不全のくすり」。
病態をざっくり理解するのに最適!
特に心臓の機能と心不全のキホンの項目は必読!
新人薬剤師、薬学生でも読める内容です。
もちろん、その他のステージの薬剤師も復習に使用しても理解が整理されておすすめですよ。
おすすめポイントを3つ
- 心不全の病態をわかり易く記載
- 薬物療法をわかりやすく解説
- 心不全治療薬の服薬指導に活かすポイントがわかる
コスパもかなり良い!!
この本を読んでから、他の本を読むとスラスラ読めるでしょうね。
循環器病棟の薬剤師には少し物足りないので★4にしました。
レスピプラス みてわかる!循環器のキホン 心不全のくすり
- 対象: 新人薬剤師、薬学生
- おすすめ度(5段階):★★★★☆
- コスパ:(5段階) :★★★★★
心不全の病態をわかり易く記載
前負荷、後負荷とそれぞれの増大に伴う症状を説明してみて?
そう言われても、なんとな〜くの知識で説明してました。
最初の”心臓の機能と心不全のキホン”を読めば系統立てて説明できるようになります。
また、
- HFrEF(heart failure with reduced ejection fraction):収縮機能が低下した心不全
- HFpEF(heart failure with preserved ejection fraction):収縮機能の保たれた心不全
についてもふれてます。
特にHFpEFは最近話題なのでおさえておきましょう。
薬物療法をわかりやすく解説
まず、急性心不全と慢性心不全の薬物療法は異なります。
急性心不全の薬物療法
急性心不全は、水分負荷に心臓のポンプ機能がついていかず破綻した状態です。
心不全の症状をすぐに緩和しなくてはなりません。
- 体液貯留に対してループ利尿薬
- 肺うっ血に対して硝酸薬
- 頻脈に対してβブロッカー、ジギタリス
これらが主に使用されます。
「病態変動に合わせた薬学管理」の項目で利尿剤について著者の私見もふまえ解説してくれてます。
この項目は秀逸です!
実臨床の経験が豊富なのが伝わってきますよ。
ぜひ読んでみてください。
慢性心不全の薬物療法
心不全の再増悪予防が目的です。
主に使用される薬は下記ですね。
- βブロッカー
- ACE阻害剤、ARB
- MRA
浮腫や、うっ血予防にはループ利尿薬が頻用されます。
改善に乏しければバソプレシンV2受容体拮抗薬のトルバプタンを使用しますが、長期投与のエビデンスは不十分です。
心不全治療薬の服薬指導に活かすポイントがわかる
「慢性心不全の薬学管理」の項目で患者からのよくある質問を著者の考えをふまえて書いてくれてます。
患者の状態を適切に把握して
薬剤師が受診を勧めるのは大事なポイントですよね。
HFpEFの薬物治療
ブログ執筆時点でHFpEFの治療は、まだエビデンスに乏しく明確な治療法が確立されておりません。
今後のデータ集積が望まれるところですね。
COPDと心不全の関係も最近の話題のようです。
また、NT-proBNPも注意点があります。
NT-proBNPは、特に腎機能の影響を受けやすいので解釈には注意が必要です。
読み終えたらこの本もおすすめ
「Dr.大島一太の7日でわかる心不全」
ぼくが心不全を本格的に勉強するときに
読んだ本です。
2012年の本ですが、わかりやすいので薬剤師におすすめです!
最近の気になる医学書は「心不全治療薬の考え方,使い方」
中外医学社さんの考え方,使い方シリーズは良書が多いので期待大ですね。
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