感染症の相談を受けたとき、どのように関わっていけばいいか不安になりませなんか?
なんとなく広域の抗菌薬を選んで、添付文書に書いてある用法・用量を伝えて終了!
なんてこと…ありませんか?
薬剤師は医師から相談を受けることに慣れていないので、お作法がわからないってことも。
「感染症非専門医・薬剤師のための感染症コンサルテーション」を読めば、解決できます。
おすすめポイントを3つ
- 薬剤師にちょうどいい内容
- よくある感染症について書いてある
- 相談の受け方、関わり方が勉強できる
感染症の相談にどのように考えて対応すればよいかだけでなく、関わり方も勉強できます。
- 対象: 薬剤師、感染症非専門医
- おすすめ度(5段階):★★★★☆
- コスパ:(5段階) :★★★★★
研修医・薬剤師にちょうどいい内容
タイトル「非専門医・薬剤師のための」そのとおりです。
感染症の診断が合っていることを前提に話が進むので、どのように考えて抗菌薬を選択、評価するのか?が勉強できます。
根拠をもって抗菌薬を選択するために
- 患者背景を理解する
- 標準治療を理解する
- よくならないときの理由を知っておく
これが重要です。
感染症の経過から患者を評価して、抗菌薬を選択しカルテに提案内容を記載する流れで記載されています。
これが、実臨床の医師と薬剤師の関係をふまえた内容で「薬剤師のための」とタイトルにつくのも納得できます。
よくある感染症について書いてある
中小病院でも関わることがある感染症について書いてあります。
- カテーテル関連血流感染症(CRBSI)
- 尿路感染症
- 髄膜炎
- 下痢症
- 皮膚軟部組織感染症
- 肺炎
- 感染性心内膜炎
- 腹膜炎
- 血液培養陽性例
症例ベースに書いてあるので、身体所見、検査値、画像など実臨床にそった内容です。
どのような流れで書いてあるのか市中肺炎を例に書きますね。
市中肺炎の診断がついたら、まず、重症度をA-DROPやCURB-65で評価します。
A-DROPを例に重症度を評価します
【A-DROP】
使用する指標
・男性 70 歳以上、女性 75 歳以上
・BUN 21 mg/dL 以上または脱水あり
・SpO2 90 % 以下(PaO2 60 Torr 以下)
・意識障害
・血圧(収縮期)90 mmHg 以下
重症度分類
・軽症:上記5つの項目のいずれも満足しないもの
・中等症:上記項目の1つまたは2つを有するもの
・重症:上記項目の3つを有するもの
・超重症:上記項目の4つまたあ5つを有するもの
ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする
重症度分類と治療の場の関係
「使用する指標」に当てはまる項目が
0:外来で治療
1 or 2:外来または入院
3:入院治療
4 or 5:ICU入院
この流れで重症度を評価します。
次に、患者背景をふまえて市中肺炎の起因菌を考えます。
大きく分けると定型肺炎、非定型肺炎の2つに分けて考えましょう。
市中肺炎のよくある起因菌は下記になります。
定型肺炎
・肺炎球菌
・インフルエンザ桿菌
・モラクセラ・カタラーリス
非定型肺炎
・マイコプラズマ
・クラミドフィラ
・レジオネラ
起因菌を考えたら、血液検査、細菌検査などを考慮して抗菌薬を選択します。
そして、医師に連絡、またはカルテの記載する流れで多岐にわたる感染症について書いてあります。
よくある感染症の思考プロセスがわかるのはお得です。
相談の受け方、関わり方が勉強できる
相手に間違いを指摘したり行動を変えてもらったりするのは、とても気を使うことです。
対応によっては、相手との関係にヒビが入ることもあります。
感染症はどの診療科でも経験する疾患ですが、意外と教科書通りの治療方法が行われていないケースがあります。
たとえば、カテーテル関連血流感染症は、中心静脈カテーテルの抜去が推奨されています。
しかし、末梢ルートが取りづらかったり、カテーテルを抜けないさまざまな理由があります。
抜いてもらえなかったらどうするか…?
その場合は、「こうなったら抜く」相談をしましょう。
計画を建てる関わり方をすると相手も受け入れやすいです。
本書では、このように具体的な対応の仕方が勉強できます。
自分は、すぐに提案通りにならないと気がすまない性分だったので、「なるほど…こうすればよかったのか」と勉強になりました。
この考え方は、あらゆる処方支援をするときにも活きています。
読み終えたらこの本もおすすめ
「薬剤師のための」と言えば
「抗菌薬処方支援の超実践アプローチ」
こちらもおすすめですよ。
この記事を読んで参考になった、いいなと思った方は
SNSでシェア、X(Twitter)のフォローをお願いします。
みなさまのリアクションが今後のブログを運営する励みになります!