病院薬剤師Dの軌跡

おすすめ本や勉強したことを書く病院薬剤師です。

免疫不全患者の感染症で勉強したこと【2019年】

f:id:byoyakud:20190818204844j:plain

免疫不全患者は感染症のリスクが高いため注意が必要です。

なぜ?と聞かれて具体的にイメージできますか?

薬剤師のぼくは、できませんでした。

「レジデントノート増刊号 免疫不全患者の発熱をマスターせよ!」

で勉強すれば最近の情報にアップデートできますよ!

免疫不全患者の感染症で勉強したこと

f:id:byoyakud:20190818072801j:plain

感染症リスクが高くなる原因は、いくつかあります。

「細胞性免疫」と「液性免疫」について説明します。

細胞性免疫

「細胞性免疫」は主にT細胞が関与します。

  • CD4陽性のヘルパーT細胞(Th)が以下の免疫を担当

  • CD8陽性の細胞傷害性T細胞(CTLs)はウイルスに対する免疫を担当

詳細は、こちらを参考にするとわかりやすいですよ。

液性免疫

「液性免疫」は血漿やリンパ液中に存在する抗体、補体が主な役割を担います。

液性免疫不全では、肺炎球菌、インフルエンザ菌髄膜炎菌の感染症リスクが増えます。

特に脾臓摘出後の患者は注意が必要で、

脾臓摘出後重症感染症(overwhelming post-splenectomy infection:OPSI)をきたすことがあるので注意が必要です。

脾臓摘出後は肺炎球菌ワクチンを接種しましょう。

液性免疫は、こちらを参考にするとわかりやすいですよ。

疾患ごとの感染症リスク

f:id:byoyakud:20190818081451j:plain

よく糖尿病、腎不全の患者は感染症リスクが高いと言われますよね。

糖尿病、腎不全、肝硬変患者の感染症リスクについて勉強したので書きます。

糖尿病患者の感染症リスク

糖尿病患者は感染症リスクが高いとよく言いますが、論文化されてるんですね。

糖尿病患者は、肺炎、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症のリスクが高く、上気道感染症のリスクは変わらない(PMID: 16007521 )

腎不全患者の感染症リスク

腎不全、透析患者の感染症リスクは高くなるといわれていますが、こちらも論文化されてます。

腎機能低下を伴う感染症関連入院のリスク(PMID: 21906862)

透析患者は細胞性免疫が障害され、その結果、液性免疫も低下します。

さらに透析時の血管穿刺で皮膚バリアの損傷もおきるためリスクが高くなります。

肝硬変患者の感染症リスク

肝硬変患者は液性免疫不全がでてきます。

肝硬変患者の突発性細菌性腹膜炎(SBP)

  • 入院した肝硬変患者の12%はSBPを合併していた(PMID:11303974)
  • SBPの原因微生物はEscherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Streptococcus pneumonia (PMID:6500513 → abstractのみ)

Streptococcus pneumoniaが原因微生物となるのは液性免疫不全のためです。

慢性肝疾患における突発性細菌性腹膜炎(SBP)の予防

静脈出血、腹水中タンパク濃度<1.0g/dL、SBP既往などのハイリスク患者はフルオロキノロンの予防投与によってSBPが予防できるます。

PMID: 1985045

PMID: 2210673

PMID: 1397884

PMID: 10347104

PMID: 17854593

ただし、キノロン耐性化のデメリットがあるので注意が必要です。

キノロン耐性化のためNFLXとCTRXを比較した試験では、CTRXの方が予防効果が高かった例もあります(PMID: 17030175)

また、肝硬変のSBP予防にST合剤が有効だった報告はこちら(PMID: 7887554  PMID: 19475696)

肝硬変患者のSBP予防に抗菌薬を使用するメリットとデメリットについては、2016年の論文があります(PMID: 26528864)

参考図書

f:id:byoyakud:20190827124502j:plain

2019年1月に発刊された

「レジデントノート増刊号 免疫不全患者の発熱をマスターせよ!」

なぜ感染症リスクが高くなるのか引用文献をまじえて説明してくれるので、おすすめです!

興味があればこちらの記事もご覧ください。

www.byoyakud-blog.com

www.byoyakud-blog.com

スポンサーリンク