感染症の初学者が、勉強する本は充実していますね。
抗菌薬の使い方を勉強したし、感染症の起因菌を勉強したし、これで抗菌薬の処方支援ができるぞ!
しかし、いざ臨床で抗菌薬の処方支援をすると、
この感受性結果はどう考えたらいいのだろう?
この疑問を持ちます。
MIC(Minimal Inhibitory Concentration:最小発育阻止濃度)が低い抗菌薬を選択すればいいのかな…?
これは間違いです。
MICは抗菌薬ごとに異なります。
MICが最小の抗菌薬が効果が高いわけではありません。
どのように感受性検査を考えたらいいのか?
これを勉強できる本がほしいですよね。
「これでわかる! 抗菌薬選択トレーニング」は、この疑問を解決してくれる本です。
おすすめポイントを3つ
- 症例に基づいた実践的な内容
- 頻度が高い原因菌の抗菌薬選択の考え方がわかる
- 薬剤師に最適なレベル
抗菌薬の処方支援をする薬剤師がレベルアップするのにおすすめです!
- 対象: 医師、薬剤師
- おすすめ度(5段階):★★★★☆
- コスパ:(5段階) :★★★★★
このブログを書いている人は
病院薬剤師歴16年以上! → プロフィール
抗菌化学療法認定薬剤師、NST専門療法士で医療専門書の購入歴300冊以上です。
わかりやすい本や他にない切り口の本を見つけるとテンションが上がります。
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わかりやすい、コスパが高い本を選ぶようにしています!
症例に基づいた実践的な内容
抗菌薬の選択を56の症例について問題形式でします。
○歳、男性
既往歴:〇〇
現病歴:………
診断:☓☓
抗菌薬は①〜⑤のどれを選択しますか?
という構成になっています。
症例の背景、抗菌薬の感受性結果、グラム染色などを考慮して抗菌薬を選択し、その後に解説が1ページあります。
問題の難易度は3段階。
まずは、興味があるところから理解度に合わせて読むこともできます。
最初は、基本的なことからスキルアップできる症例、感染症専門医に相談した方がいい症例と幅広い内容です。
MRSA肺炎は本当にあるのか?
喀痰培養でMRSAが検出された肺炎の症例は、そもそもMRSA肺炎に出会った人ってそれなりにいるのかな?って方が気になってしまいました。
それは、ひとまず置いといてってことでしょうか。
頻度が高い原因菌の抗菌薬選択の考え方がわかる
肺炎、尿路感染症、軟部組織感染症、感染性心内膜炎、血流感染症など、よく聞く疾患の症例について、培養結果、薬剤感受性結果をもとに問題を考えていきます。
原因菌も
黄色ブドウ球菌、腸球菌、大腸菌、クレブシエラから
院内感染症の原因菌になる微生物、結核菌、非結核性抗酸菌、Clostridioides difficileまで聞いたことがある名前がならびます。
感染症の基本を勉強したことがある方は、
実際に抗菌薬を選ぶ訓練になってとても勉強になります。
実践的な内容なので繰り返し読めばスキルアップ間違いなし。
CPE、CREについては、ぼくも理解が浅かったので、勉強になりました。
βラクタマーゼ産生確認試験(ペニシリンディスクゾーンエッジテスト)って細菌検査を外注している病院でもやってくれているのでしょうか?
MICを縦読みしてはいけない
抗菌薬感受性結果のMICを縦読みしてはいけない。
縦読みしているスタッフにこれを伝えるのが大変です。
ぼくもチャンスがあればMICの縦読みについて説明をしています。
第3世代経口セファロスポリンは吸収率が低い
第3世代経口セファロスポリンのバイオアベイラビリティの低さを書いてる本で安心しました。
薬剤師に最適なレベル
抗菌薬感受性結果の考え方と聞くと
検査技師、医師でないと難しいのではないか…と心配になる方もいるでしょう。
大丈夫です。
薬剤師でも読めます。
微生物ごとのMICを知らなくても読めます。
抗菌薬選択の考え方を症例を通して勉強するので、
感染症、抗菌薬の基本がわかっていれば読めます。
まずは、初学者におすすめの本を読んでこの本を読むと効果的ですよ。
読み終えたらこの本もおすすめ
グラム染色を活かした抗菌薬の処方支援ができるようになりたかったらこの2冊がおすすめです。
できる! 見える! 活かす! グラム染色からの感染症診断〜検体採取・染色・観察の基本とケースで身につく診断力
感染症ケースファイル―ここまで活かせるグラム染色・血液培養
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