薬剤師が感染症や抗菌薬を勉強するときに手に取る本を選びました。
医師向けもありますが、十分理解できるレベルです。
薬剤師だけでなく、看護師にもおすすめの本がありますので参考にしてくださいね。
このブログを書いている人は
病院薬剤師歴16年以上! → プロフィール
抗菌化学療法認定薬剤師、NST専門療法士で医療専門書の購入歴300冊以上です。
わかりやすい本や他にない切り口の本を見つけるとテンションが上がります。
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わかりやすい、コスパが高い本を選ぶようにしています!
ねころんで読める抗菌薬
4コマ漫画の例えが秀逸で初学者に最適です。
薬剤師でも文字通り、ねころんで読めます!
仕事で疲れた後でもスラスラと読めるからおすすめの本です。
内容をざっくりまとめると
- 抗菌薬、感染臓器、原因菌の関係に触れている
- 抗菌薬の投与日数について
- 感染治療にCRP、白血球数のみを判断材料にしない
- 培養結果の解釈
- 各抗菌薬の特徴
- 微生物の臨床的な特徴
各項目のタイトルが秀逸で、例え話がとてもわかりやすいです。
明日から使える内容なので、あなたの感染症の知識は、
0からすぐに1、2、3…と増えていくことは間違いありません。
初学者にちょうどよい量で、1項目が、1、2ページで終了するので通読しやすいです。



これを1冊目に買えばよかった…と、時間の無駄を痛感しました。
抗菌薬を選択する時の基本的な考え方を知ってますか?
ペニシリン系よりもセフェム系が強い?
カルバペネム系が最強??
最終兵器はバンコマイシン!?
すべて違いますね。
抗菌薬を選択するときは、感染臓器、原因微生物を考えて最適な抗菌薬を選択します。
また、感染症の治療効果を評価するときに
白血球数、CRPのみを評価項目にしてはいけません。
感染臓器に適した評価化項目を確認することが大事です。
このように抗菌薬を使うときは、その周辺情報を収集し正しく解釈することが大事です。
この感染症治療の基本をこの本で学ぶことができます。
絵でわかる感染症
岩田健太郎 先生と、もやしもんのイラストのコラボです。
岩田先生の独特な語り口と「もやしもん」の石川雅之さんのイラストがマッチして、すごくわかりやすい!
医学書は、論文をふまえた記載は多いですが、自分の経験と考えをはっきりと書く著者は少ない印象です。
これは、患者背景や採用薬の事情で個別のケースに反映できなかったり出版社の意向もあるのかもしれませんね。
岩田先生は、自分の考えをズバッと書いてくれます。



お2人のファンはもちろん、読み物が好きな方におすすめの本です!


ざっくり内容をまとめると
- 微生物について
- 抗菌薬
- 感染症とその症状
1項目のボリュームもちょうどよいです。
そして内容が臨床的ですね。
研修医、看護師、薬剤師だけでなく医学生、薬学生、看護学生も読めます。
明日から使いたくなる知識が手に入りますよ。
絶対わかる抗菌薬はじめの一歩


抗菌薬の調剤をしているとき抗菌薬の特徴を説明できますか?
薬剤師が抗菌薬のことを本格的に勉強するなら「絶対わかる抗菌薬のはじめの一歩」がおすすめ!
医師に大人気の本ですが感染症の初学者、新人薬剤師が最初に購入しても理解できる内容です。
2010年発行ですが、増刷の際に小改訂されているので今でも人気の1冊です。
Kindle版があるのもポイントですね。
“絶対わかる抗菌薬のはじめの一歩”は
- 感染症診療の基本
- 抗菌薬の特徴と使い方
2つについて記載されてます。
薬剤師は調剤のときに用法・用量からまず考えがちです。
医師の思考順は違います。
たとえば、肺炎を例にしましょう。
【医師の思考】
1. 肺炎と診断して
2. 原因微生物を考え
3. 有効な抗菌薬を選択し
4. 用法・用量を決める
この思考過程で抗菌薬を考えます。
薬剤師は、逆の順番で処方箋を見る方が多いのではないでしょうか?
抗菌薬は、医師と同じ思考過程で考えることをおすすめします。
感染症診療の基本が勉強できる
感染症診療には大事な三角形があります。
【感染症診療の3つの関係】
・感染臓器
・原因微生物
・抗菌薬
どれか1つでも欠けるとロジックが崩れます。
さらに“患者背景”の把握と“適切な経過観察”の理解ができると、より強力な武器になります。
- どのような患者が
- どこの臓器に
- どの微生物が原因で起こった
感染症だから
- どの抗菌薬を
- この用量・用量で
- 何日間使用して
治療する。
この考え方を13ページほどでまとめてあるので短時間で理解できます。
抗菌薬の特徴が理解できる
抗菌薬ごとに作用機序、カバーする菌、特徴をまとめてます。
たとえば
- セフェム系の第1世代〜4世代の違い
- 腸球菌をカバーする抗菌薬は?
- 緑膿菌をカバーする抗菌薬は?
- 嫌気性菌をカバーする抗菌薬は?
これがわかるようになります。
「絶対わかる抗菌薬はじめの一歩」は、薬剤師にも有用だということがわかります。
薬剤師は、薬の使い分けをすごく意識します。
購入する本も使い分けに関する本が多いのではないでしょうか?
調剤のときに作用機序やカバーする菌が思い浮かばなければ繰り返し確認するとよいですよ。
また、関連する感染症についても勉強できます。
少し古い本なので、古い情報はアップデートしておきましょう。
症例で知識の確認ができる
模擬症例で抗菌薬を選択して理解できているか確認します。
少し難しい内容もありますが、解説でさらに理解を深めることができます。
様々な患者背景の症例があるので、勉強になります。
言葉の意味を調べながら読みましょう。
感染症まるごとこの一冊!
薬剤師に必要な感染症の基本は「感染症まるごとこの一冊」で勉強できます。
文字どおり1冊でほとんど網羅できます。
ざっくり内容をまとめると
- 病院の感染制御
- 抗菌薬
- 臓器別の感染症
- ワクチン
これと言って特徴がないように思えますが、基本忠実に書いてあるため安心感のある内容です。
感染症まるごとこの一冊の内容は
- 感染管理
- 感染症診療
- 微生物
- 抗菌薬
- 主要な感染症治療について
- ワクチン
感染症のわかりやすい教科書です。
ぼくも同僚にこの本をおすすめしてます。
医師向けですが、薬剤師も理解できます。
肺炎や尿路感染症などの起炎菌トップ3を記載してくれてるので、これを覚えましょう。
そして、抗菌薬の評価をするポイントを学びます。
繰り返しこの本を読んでマスターすれば、感染症が苦手な医師の処方支援ができるようになります。
医師は、相談相手がおらず孤独です。
一緒に治療をしてくれるパートナーを探しているものです。
ぼくの担当病棟は、卒後5〜8年目前後の外科系医師が定期的入れ替わります。
そこで実感します。
若手の外科の先生方は、手術の手技や術後管理を勉強しなければならないため、感染症をはじめとした内科系の疾患を勉強する時間があまりないそうです。
抗菌薬の質問を受けることも多かったので、ぼくは、感染症の勉強をはじめました。
この本をマスターし、感染症の治療の一助となった症例もありました。
そういったきっかけもあり症例を経験し、抗菌化学療法認定薬剤師を取得することもできました。



ぼくの基礎を築いてくれた本です。
まとめ
とにかく1冊ですませたい方は「感染症まるごと この一冊」
ほんとに初学者なので簡単な本でスラスラ読みたい!って方は「ねころんで読める抗菌薬」
この2冊が特におすすめです。
昔から人気があるだけ、良書はいつまでも売れ続けている。
間違いないです。







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