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「ブラッシュアップ敗血症」は薬剤師が薬物療法をアップデートするのにおすすめ

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“敗血症”と聞いただけで、

危険な状態だ!

よくわからないけど、色々な薬を使うんですよね?

といった状態になりがちです。

たしかに敗血症は全身管理をしなければなりませんが、

薬物療法はそれぞの問題点にそって行われます。

一度、勉強すれば

どのような治療が行われ、

どのような薬が使用されるかイメージできるようになります。

しかし、

治療方法もアップデートされていくため忙しいみなさんは追いつくのに精一杯でしょう。

ぼくもそうです。

そんなあなたに効率よくアップデートできる本が2019年にでました。

近藤 豊 先生の「ブラッシュアップ敗血症」です。

おすすめポイントを2つ

  • 敗血症の2019年アップデートができる
  • 敗血症の問題点を項目ごとに書いてある

発刊時点の最新の知見をまとめてくれてますので おすすめです!

医師向けに書いてるでしょうが、薬剤師でも理解できる内容です。

  • 対象: 薬剤師、医師、看護師
  • おすすめ度(5段階):★★★★★
  • コスパ:(5段階) :★★★★☆
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目次

敗血症の2019年アップデートができる

日本版敗血症ガイドライン2016ができて4年が経ちました。

ブログ執筆時点までに新たにわかったこともあるでしょう。

この本では多くの項目についてわかっていること、わかっていないことを書いてくれてます。

著者の考えも書いてくれてるのでとても勉強になります。

敗血症の定義(2016年)

敗血症の定義は2016年に見直されました。

日本版敗血症ガイドライン2016から引用したものが下記になります。

敗血症は,「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」と定義する。敗血症は,感染に対する生体反応が調節不能な病態であり,生命を脅かす臓器障害を導く。また,敗血症性ショックは,敗血症の一分症であり,「急性循環不全により細胞障害および代謝異常が重度となり,死亡率を増加させる可能性のある状態」と定義する。これらは,2016 年 2 月に 発 表 さ れ た 敗 血 症 の 新 し い 定 義「The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock(Sepsis-3)」に準じる。

“敗血症”の定義

「感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態」

“敗血症性ショック”の定義は

「急性循環不全により細胞障害および代謝異常が重度となり,死亡率を増加させる可能性のある状態」

となりました。

敗血症のイメージは、感染症と自己免疫力の抑制が混在してる状態と考えるとよいそうです。

敗血症の診断で使用するqSOFAは補助として考え、他の所見を合わせて総合的に判断するのがよいですね。

qSOFA

  • 収縮期血圧100mmHg以下
  • 呼吸数22/分以上
  • 意識変容=GCS15未満

医師や看護師と認識を共有するするためにこのようなスコアの有用性や限界を知ってると薬剤師の視野が広がります。

敗血症患者のカルテ記載はプロブレムごとに記載するとわかりやすいです。

感染症、血糖コントロール、循環、上部消化管潰瘍予防…というよに書くプロブレムリストごとに分けて書きましょう。

カルテは自分のメモではなく、スタッフ間で情報共有することも兼ねてますからわかりやすく、伝わりやすくする工夫が大事です。

敗血症の問題点を項目ごとに書いてある

42の項目に分けて、1項目を5ページ前後で記載されています。

敗血症の治療に関わったことがあれば、スラスラと読めます。

もちろん、気になる項目から読んでも大丈夫です。

引用文献もしっかり記載されているので勉強になりますよ。

各項目で勉強になったことを書きますね。

熱傷後敗血症

熱傷の受傷直後は皮膚の常在菌が死滅しているため、直ぐに敗血症になりません。

受傷5日〜7日が経過するとT細胞の機能が抑制されて一気に敗血症になりやすくなります。

だから熱傷後敗血症の起因菌は院内感染の微生物であることが多いという点も納得。

熱傷の早期は敗血症にならないため抗菌薬は不要。

手術時の予防目的で抗菌薬を使用する。受傷早期のシャワーや入浴で水治療(hydrotherapy)はMRSAや多剤耐性の緑膿菌、アシネトバクターによる敗血症の誘引になるため、生食での洗浄したほうが良い。

熱傷診療ガイドライン 改定第2版によると

共用シャワーや入浴による熱傷の水治療は,MRSA や多剤耐性の緑膿菌やアシネトバクター,カンジダなどによる感染および敗血症の誘因となり生命予後を悪化させるので,受傷早期(特に壊死組織の遺残が多い場合)にはできるだけ実施しないことが推奨される(B).

敗血症の初期輸液

敗血症の初期輸液は、30ml/kgの晶質液が推奨されていますが、エビデンスはない(日本版敗血症診療ガイドライン2016)。
生食はClの量が多いため腎機能障害と関連があると言われているので大量輸液の際は注意。
HESは敗血症では推奨されない。

敗血症の抗菌薬選択

βラクタム系とアミノグリコシド系の併用はシナジー効果をねらっています。

敗血症での併用は優位性がないとのことがシステマティックレビュー、メタ解析で示されているとのこと。

理由は腎機能障害が増えるため。

ルーチンの併用はせず、症例に応じてがよいですね。

また、

ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(Jarisch-Herxheimer-Reaction:JHR)の説明もあります。

これは、梅毒、レプトスピラ症、回帰熱の治療の際に、ペニシリン系、セファロスポリン系の抗菌薬を使用すると起こります。

悪寒・発熱・頻脈・血圧低下など敗血症性ショックをきたす反応のことです。

検体の取り扱いについても記載があり勉強になります。

たとえば髄膜炎菌や淋菌は常温で保存しなくてはなりません。

冷蔵保存すると死滅してしまうからです。

髄膜炎を疑って髄液を採取したときに冷蔵保存すると起因菌がわからず危険ですね。

敗血症の昇圧剤

敗血症性ショックでは十分な輸液を負荷しても血圧が維持できなければ、ノルアドレナリンを考慮します。

通常の血圧低下と同じようにドパミンを使用しているケースを散見しますが、頻脈のリスクがあるので使いづらいです。

敗血症の鎮痛と鎮静

ぼくは、鎮痛、鎮静の項目で疑問がありました。

鎮痛の評価にFPS(Faces Pain Scale)が有効な評価ツールと記載されていますが、緩和ケアのガイドラインでは、FPSはイラストの表情に患者がひっぱられて評価するからおすすめしないとなっています。

緩和ケア以外の分野では違う見解なのでしょうか?

集中治療での鎮痛の評価は緩和ケアとはまた違う状況なので、FPSが患者にとって簡便で使いやすいのかもしれませんね。

敗血症の腎保護

少量のカルペリチドは腎保護作用があると聞きますが、造影剤腎症の予防になるかはまだ確立していないのですね。

敗血症の血糖コントロール

敗血症の血糖コントロールは144〜180mg/dLが良いです。NICE-SUGAR試験で証明されているように強化インスリン療法は低血糖のリスクが高くなります。

敗血症のDIC治療

AT製剤の使用は意見が分かれていますね。

rTMも使用する空気が当院もありますが、DICの治療はあくまで原因となった疾患の治療(多くは感染症ですが)が主で、AT、rTMは選択肢として提案はするけど補助とぼくは考えています。

敗血症のステロイド補充

敗血症のステロイド補充はAPROCCHSS試験によると

死亡率は有意に改善(28日死亡率は差なし)。

ショックからの離脱や臓器障害の期間を2日短縮する。

ショック状態の症例に使用を検討するとよさそうですね。

ショックを離脱してもステロイドを続けるのは副作用に悩まされるだけです。

ぼくも血糖値のコントロールで苦労した経験があります。

敗血症の上部消化管潰瘍予防

敗血症の上部消化管潰瘍の予防にPPIとH2-blockerのどちらが優れているか決着はついていません。

当院はPPIが多い印象。

ちなみに日本版敗血症ガイドライン2016では敗血症にルーチンで抗潰瘍薬の使用は必要ないと記載しています。

副作用の点からリスクの高い時に使用した方がよいみたいですね。

まとめ

敗血症の最近の治療方法を効率的にアップデートできる良書ですね。

敗血症のトータルマネジメントが勉強できますよ.

日本版敗血症ガイドライン2016のおさらいにも最適!

基礎知識があれば2、3時間で読める内容です。

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